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共生社会の実現を目指して、障害者支援のシステムを開発 株式会社ワイ・シー・シー

株式会社ワイ・シー・シーは、1966(昭和41)年の創業以来、ビジネスの効率化や社会的課題の解決のために、最新のデジタル技術を駆使してサポートを提供してきました。誰もが社会参加できる「共生社会の実現」に向けた同社の取り組みについて、お話をうかがいました。

株式会社ワイ・シー・シー
DX推進ビジネスグループ グループ長 斉藤様
営業グループ 営業部 鈴木様
営業グループ 営業部 樋口様
DX推進ビジネスグループ 中嶋様

教育や福祉分野における情報アクセシビリティの向上を支援

YCCの事業の一つである「共生社会の実現を目指して」への取り組みをご紹介ください

鈴木 最新のデジタル技術を活用し、教育や福祉の分野における情報アクセシビリティの向上を支援しています。具体的な製品としては、「INCLSS発達・教育支援システム」や会話の見える化アプリ「UDトーク」をご提供しています。

鈴木氏の写真

鈴木氏

INCLSSはどのような経緯で開発されたのでしょうか

鈴木 発達障害のある子どもの支援には、自治体の職員をはじめ、いろいろな組織や部署のスタッフが関わってきます。INCLSSは、そのような子どもの成長記録などの情報を一元管理し、幼児期、就学期、進学といったライフステージの変化に際して情報が切れ目なく引き継がれるようサポートするシステムです。

「INCLSS」ロゴのイラスト

切れ目のない支援「INCLSS」ロゴ

開発のきっかけは、発達障害の先進的な支援に取り組んでいらっしゃる東京都日野市様が、紙ベースで運用していた仕組みをシステム化したいということで、弊社にお声がけいただいたものです。できあがってみると、社会で必要とされるシステムであることが分かったため、全国の自治体様に向けて提供できる体制を作りました。

ライフステージを通した「切れ目のない支援」をサポート

システム化のポイントはどこにあったのでしょうか

鈴木 このシステムは、自治体の福祉関係の職員だけではなく、教育委員会や学校の教員、民間の教育施設といったように、所属する組織が異なる方々が情報を共有するという利用形態を想定しています。それらのユーザーが一つのシステムをどのように使い、情報を引き継いでいくか、その最適な方法を実現する必要がありました。個人情報を守りつつ、スタッフの方々が安全に情報を利用できることが、一番のポイントだったのです。

どんな情報を登録するかは、日野市様が紙ベースで運用なさっていたノウハウをご提供いただきました。誰もが使える環境ということでクラウドサービスを利用していますが、セキュリティ面でも満足できる仕組みを作り上げることができました。

INCLSSのメリットをご説明ください

斉藤 これまでは「情報の切れ目」があって、幼稚園から小学校に進学したり学年が上がるたびに、新たに担当になった先生はその子どもの特性をヒアリングし、保護者も毎回、一から説明しなければなりませんでした。INCLSSによって情報が正しく切れ目なく引き継がれていくので、保護者も安心です。

斉藤氏の写真

斉藤氏

鈴木 従来は紙ベースで運用していたため、情報の紛失や散逸の可能性がありましたが、それが解消されました。また、書類に記入したり情報を管理する職員の負荷が半減し、働き方改革にプラスになったという声もいただいています。

自治体のサービスの認知度が高まれば利用希望者も増える

共生社会実現への取り組みにおける課題は何でしょうか

鈴木 自治体の方々からは、発達障害を含む障害者支援で自治体が提供できるサービスについて、住民への周知がまだまだこれからという話をうかがいました。日野市様のように先進的に取り組んでいると住民の認知度も高まり、サービス利用の希望者が増えて、システム化が必要になります。他の自治体でも利用対象者が増えているとのことなので、INCLSSの必要性がますます高まっていくと思います。

YCCの障害者雇用への対応や課題について教えてください

斉藤 障害者手帳を持っている従業員が数名おりますが、弊社は共生社会のソリューションを扱っていることもあり、障害者雇用を積極的に進めたいと考えています。そのためには、障害者の特性を理解するなど、社内でも勉強しながら、環境作りをしていこうと思います。その一環として、新社屋はバリアフリー化をしています。

  • バリアフリーに対応したトイレの写真

    バリアフリーに対応したトイレ

  • トイレ内の緊急時の呼び出しボタンの写真

    トイレ内には緊急時の呼び出しボタン(ひも付き)が設置されています

  • トイレ外壁に設置されている光アラートの写真

    緊急時の呼び出しボタンを押すと外部へ音と光で知らせます

  • スロープ構造の廊下の写真

    車椅子の移動に配慮したスロープ構造の社屋

  • バリアフリー対応のエレベータの写真

    エレベータもバリアフリー対応

  • 新社屋の屋上から見える富士山の写真

    新社屋の屋上からの眺めは最高です

ウェブアクセシビリティは誰にとっても必要なもの

ウェブアクセシビリティへの取り組みについてお聞かせください

斉藤 ウェブアクセシビリティも含めて、情報伝達に関してはINCLSSやUDトークの問い合わせがけっこうあります。例えば、現状では情報伝達に対する支援制度は手話か要約筆記という自治体がほとんどですが、文字情報支援としてUDトークを使っても法律的にはまったく問題ありません。INCLSSやUDトークの認知度がまだ低いので、展示会参加やオンラインのプロモーションなどに力を入れていきたいですね。

ウェブアクセシビリティを維持するための課題は何でしょうか

斉藤 障害者や高齢者だけではなく、健常者もいずれは高齢者になるわけであり、ウェブアクセシビリティは誰にとっても必要なものだと思います。ユニバーサルデザインという世界観の中で、障害者や高齢者が使いやすいものは、誰にとっても使いやすい。ユニバーサルデザインはこれからますます重要になってくるので、そういったところを意識していきたいと思っています。

鈴木 今後、共生社会がどんどん広まり、多様な人に対して同じように情報を伝え、活用してもらうために、ウェブアクセシビリティは必須のものなので、試行錯誤しながら経験を積んでいこうと思います。

中嶋 新入社員研修で、弊社のホームページの改善提案をしました。SDGsを踏まえた案を提出しましたが、それが結果的にウェブアクセシビリティに配慮した内容だったので、とても考えさせられました。これからはウェブアクセシビリティの必要性がさらに高まるので、もっと理解を深めていきたいと考えています。

樋口 私も新入社員研修でホームページの改善提案を考えました。かっこいいと思うホームページの案を出しましたが、障害のある方への配慮はあまりなかった覚えがあります。上司のアドバイスで考えが変わり、本日もウェブアクセシビリティという概念を改めて知るきっかけになったので、もっと相手の立場に立って考えようと思いました。

中嶋氏と樋口氏の写真

写真左から中嶋氏、樋口氏

ウェブアクセシビリティの重要性

株式会社ワイ・シー・シーでは、ウェブアクセシビリティを含む情報アクセシビリティの重要性を理解し、「共生社会の実現」に向けた取り組みを続けています。障害者や高齢者向けシステムのデジタル化も進める予定とのことで、さらなる発展が期待されます。

関連リンク

注記:インタビューは2021年10月に行いました。

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